データトラブル予防策―6
データ喪失を防止するためのヒント
USB媒体の「安全な取り外し」は使っていますか?
(NTFSフォーマットは危険?)
USBメモリーやUSBHDDを接続し、使用後に取り外すときに、必ず「安全な取り外し」を使っている人はどれくらいいるのでしょうか。USB接続が使われる前は、外付けの記録媒体は、パソコンの電源スイッチを入れる前に接続し、BIOSに認識させる作業が必要だったことを知っている人は、本当にわずかしか残っていない思います。そして、今や「安全な取り外し」の必要性すら知らない人も多くなっているのではないでしょうか。そして、その結果として、
【恐怖】Windows10にアップグレードしたら、USBを安全に取り外さないとデータが全部消えることがあるよ、という話
http://togetter.com/li/988043
のような騒ぎになっているのです。
DDRescue より
Windows系のフォーマットの種類として、FAT系にはFAT12、FAT16、FAT32、exFATなどのように種類があることが知られていますが、実はNTFSにもいくつかの種類があるのです。過去のWindows2000(NTFS3.X)以降のものは、以前のNTFSに対する互換性が確保されていることと、コンシュマー(個人)用のWindowsではXPになるときに導入されたため、過去のNTFSのことはあまり知られていないのですが、最近ではWindows7からWindows8になるときに変更されていたのです。
それは、NTFSの特徴でもあるジャーナリング(ファイルの変更履歴)機能に関連するのですが、使用中の媒体の変更履歴を記録している、LFS(Log File System)のバージョンが、1.1から2.0に変更になり、完全な互換性が保たれていなくなっていたのです。しかし、LFSはOSに接続された時点で臨時に作成され、切り離される(「安全な取り外し」を動作させた)時点で、その媒体のファイルの変更内容を、MFTなどの「正規のファイル構造情報」に反映させて消滅する仕様になっているので、(本来は)完全な互換性を必要とはしていない(はず)と考えられているのです。
ですから、Windows10で「安全な取り外し」を行わずに、いきなり取り外し、Windows7に接続するようなことをすると、ファイルの新規作成なども含む変更内容が、どこにも記録が残らない(消えてしまう)ことになるのです。
これを防ぐためには、「安全な取り外し」を必ず行うようにするか、USB接続の媒体のフォーマットには「NTFS」を使わず「exFAT」を選ぶ必要があります。
この発生の仕組みについては、DD-RESCUEでもまだ100%の確率で再現できるまで解明できていませんので、何か更に詳細な発生状況や再現試験などの情報があればご提供いただければ幸いです。