最も基本的でありながら、よく理解されていないところを解説
あちこちのデータ復旧関連Webから気になること
このデータ復旧業者のWebでも、ヘッドとプラッタは微小な隙間を持っていて、ジャンボジェット機が高度0.5mmで時速1000Kmで飛んでいるのがHDD! などと書かれていて、ヘッドとプラッタの隙間はタバコの煙の粒子より小さく、接触したらクラッシュする。などと書かれていますが、ホントに本当なの?
DD-RESCUEより
ヘッドとプラッタの間に僅かな隙間を作っているのは、プラッタが回転することによって発生する気流なので、プラッタの回転速度が低いうちは、ヘッドとプラッタは接触して(プラッタ上を滑って)います。HDDが停止しているときは、ヘッドはプラッタの外に設けられている「ランプ」と呼ばれる部品や、プラッタの内周部分にある「シッピングゾーン」と呼ばれる部分に退避することで、プラッタとヘッドの吸着現象(スティクション)の発生を予防していますが(シッピングゾーンには細かい凸凹が作ってあるので、ヘッドとプラッタは点接触となり、吸着現象を起こさない)、プラッタが回転を始めると、その退避位置に固定しているラッチが外れて、プラッタ上に移動します。このときにプラッタの回転速度が低いと、プラッタの上を滑っているだけで、浮き上がることは出来ません。(最近は一部の機種で、完全に高速回転になるまで、ラッチが外れない機種もあります)この浮き上がらずにプラッタ上を滑っているときに、ヘッド(スライダー)の角にホウキの役目をさせて、プラッタの表面に付着している汚れ(ゴミ・微粒子など)の掃除をしていることを知っている人は、データ復旧業者にはいないのでしょうか?
そして、プラッタの表面は、このときに傷がつくことを防ぐためにDLC(Diamond-like Carbon)と呼ばれる、滑らかな表面を持つ硬い皮膜を持っています。DLCは、GT-Rなどの高級スポーツカーのエンジン内部の摩擦によるパワーロスを防ぐためにも使われているほど摩擦に強い、丈夫な皮膜です。さらに、その上に宇宙空間(真空中)で使われる、成分の変化や蒸発したりしない、フッ素系のオイルを塗布した潤滑層を持たせているのです。